セカンドオピニオン

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 ここで主治医の先生にちゃんとお話を聞けば良かったんですが、なかなか捕まえることが出来なくて、うやむやなまま時間だけが過ぎていきました。  日が経つにつれ、その不安はどんどん増すばかりで――。  そうこうしているうちに、セカンドオピニオンで予約を取った日取りが近づいてきました。  で、思ったんです。  セカンドオピニオンで、抗がん剤の賛否について問うてみたらどうだろうか?と。  実は当初予約を取った折は母が癌に対する一切の治療を中止し、痛みでのたうち回っている時期だったので、予約の際の電話でも、それについてのアドバイスが欲しいと話していました。だから緩和ケアに回されたことをそれほど疑問に思っていませんでした。  もちろん、緩和ケアで体調が戻ったら抗がん剤治療を再開したいという淡い期待は持っていましたので、その際は隣県の県立病院で診ていただけるかどうかも聞いてみよう、と漠然と思っていたんです。  でも、いざ予約を取り、数日後にはセカンドオピニオンを受けるぞ、という段になって、地元の病院の主治医から突然、出来ないと思っていた抗がん剤が出来ると告げられたのです。  その時点で私たちの一番聞きたい内容が「緩和ケアと、それに伴い回復した際の抗がん剤治療の可能性」ではなく「抗がん剤治療の賛否を問いたい」になっていたんです。  そのことに自分たち自身気付けぬままに受診してしまっていたんですが、県立病院の緩和ケア科の先生や婦長さんは、1時間足らずの面談で、そこを即座に汲み取って下さったんです。  で、「そういうことでしたら抗がん剤治療を専門にやっている臨床腫瘍科に相談してみられるほうが適切なアドバイスがもらえると思います。紹介状を書きましょうか?」と提案してくださって…。  私たちは1も2もなくうなずいていました。
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