セカンドオピニオン

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 で、臨床腫瘍科に行くと、そちらの先生が開口一番「今の状況を見て、私は抗がん剤治療を受けるべきだと思います」と力強く言ってくださいました。  抗がん剤治療を受けさせるべきか否かを迷っていた私たち親子にとって、竹を割ったようなこのスパッとした物言いは、とても頼もしく思えました。  そして、先生は更にこう、付け加えて下さったんです。  「もしも自分の妻や母が、K子さん(母の名)のような病状だったとしても、私は迷わずA先生と同じ抗がん剤治療を勧めます! 抗がん剤をすることで、痛みの緩和も期待できますから。迷っている時間はありません。一日も早くやって頂くべきです」と。  期せずして、私と父が昼食時にA先生に聞いてみよう、と言っていた言葉を使って、こちらの先生は私たちの背中をポン、と押して下さったんです。  この一言を聞いた瞬間、私、今までの迷いが吹っ切れて…思わず涙がぽろぽろとあふれてしまいました。  どうしていいか分からず迷っていた私たち親子にとって、臨床腫瘍科の先生の言葉は本当に強く響きました。  こちらの先生のお話を聞いて、「もう一度抗がん剤を試してみよう。母にもう一度頑張ってみよう、と言ってみよう!」と思えました。  父も、やはり先生の「自分の家族だったとしても」の仮説に強く胸を打たれたようで、「ありがとうございます、迷いが吹っ切れました」と涙してお礼を言いました。  隣県県立病院の先生は、何と私たちとの面談前に、地元のA先生の真意もちゃんと電話で確認して下さっていて、抗がん剤をもう一度やってみましょうと言って下さったときの気持ちが、自分と同じであることも教えてくださいました。  その言葉に、本当にホッとしました。
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