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隣県県立病院では、実は厳しいことも色々言われました。
膵臓癌という病気の性質から、母の余命がおそらく1年ないであろうこと――。
あくまで統計データ上の話なので母の場合の余命ではないと前置きはされましたが、抗がん剤が効いた場合でも、病気発覚後、11か月延命ができれば良いほうなのだ、と言われました。(私もそのことはインターネットなどで調べて知っていたんですが、改めてお医者様の口から伺うとやっぱりショックでした)
たった数か月命を長らえるために母に強いるであろう、色々な辛い治療を思うと……本当に涙があふれて止まりませんでした。
でも、データはあくまでデータ。
例外の方だって勿論いらっしゃいます。
母がそうでないという可能性も絶対にないとは言えないわけで。
だから、現実は厳しいということは承知した上で、それでも希望だけは絶やさず家族一丸となって頑張っていけたらいいな、と思っています。
その際、セカンドオピニオンの先生は私たちに謝っていらっしゃいました。
「ごめんなさい。他のガンは治すために抗がん剤を使うのだけれど、こと膵臓癌に関してだけは治すための抗がん剤が存在していないんです。私たち医者は患者さんに対して痛みを緩和するため。もしくは症状を緩和するだけのために抗がん剤を使っています。これはもう何年も変わっていない事実で、自分たち医療従事者も大変心苦しく思っているところです」と。
膵臓がんに関してのみ、治療のための抗がん剤が存在していない。
これは、私たち家族にとって、重く重くのしかかってきた言葉でした。
母が苦しい思いをして頑張ってきた抗がん剤は、最初から母の抱えた様々な症状を抑えるためだけのものだったのです。
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