友達

2/2
前へ
/128ページ
次へ
 お友達、と言えば母にも近所に仲良くしてくれていた友人がいて…手術前にも手術後にも母の顔を見に来てくれました。  そのおばちゃんに電話して母の現状を伝え、あとどのくらいちゃんとお話出来るか解らないけれど……出来ることなら笑顔で見送ってあげてね、ってお願いしました。  おばちゃんは電話口で母のためにたくさん泣いてくれました。  こうやって別れを惜しんでくれる多くの人に囲まれて、母は本当に幸せ者だったなって思います。  それはきっと、母が周りに愛される生き方をしてきたからこそだと思います。  母の天命は神のみぞ知る――。  もしかしたらまだまだこちらで頑張りなさい、って戻されるかもしれない。  そうなることを願いながら、過ぎゆく日々を笑顔で母と共に過ごせたらな、と思っていました。  でも、のべつ幕なし泣かずにいるのは思いの外、辛かったから。  母の前で笑顔でいるために、別の場所ではしっかり涙を流すようにしていました。  母が亡くなったあと、母と同室だった方が教えてくれました。  私たちが帰った後、母がこっそり泣いていたことを。  「強くて優しいお母様だったね」って言葉と共にそのお話を聞かされたとき、母も私と同じ気持ちでいてくれたんだなぁって思いました。  きっと、ひとつでも多く、笑顔で一緒に過ごした記憶を残したかったんだよね。  母さんは本当、術後も毎日元気に笑顔で色々お話してくれていました。  私も笑顔で母に受け答えしました。  こんな日がいつまでも続けばいいなぁ。  そんな風に願った日々でした。 23dadbaf-4fed-40f8-94cd-7b8bfc85f93d  ↑術後(6/9)に病室で撮った母の写真です。(亡くなるわずか11日前)  どこか泣きそうにも見えるけれど、いつもいつもこんなふうに全力で笑顔を見せてくれていました。
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!

78人が本棚に入れています
本棚に追加