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1. お気に入りの隠れ家
廃車になったバンを譲ってくれたのは、父の友人のモケイロだった。明るく大らかな性格で社交的な父には、たくさんの友達がいる。黒人のモケイロは植物学者だ。彼は私が幼い頃からよく家に食事に来て、叔父のように私を可愛がってくれた。
モケイロから譲ってもらったバンは、全長5メートル、幅2mほどと大きく、屋根が白くて車体が水色だった。
私は妹のフィンリーと一緒に、2週間かけて中を模様替えした。助手席と運転席の後ろのスペースの真ん中に木のテーブルを置いて、黒い皮のカウチで挟んだ。運転席の後ろには本棚を設置して、レコードプレイヤーを置いた。また、赤と黄色の小さめのコンテナを助手席の後ろに重ね、その上に年代物のタイプライターと、コークの空き瓶を2本ほど並べた。
アンディ・ウォーホルの描いたマリリン・モンローの絵のポスターも運転席の前の窓に貼った。貧乳で色気のかけらもない童顔のわたしがマリリンになれるとは思わないけれど、憧れるだけならタダだ。
こうしてできた1960年大アメリカ風の部屋を、わたしは大いに気に入って隠れ家にしている。
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