続・コミュ障

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続・コミュ障

 私はコミュ障のけがある。はっきり言って接客に向かないと自分でも思う。  それなのに、何故長年この仕事を続けているのかというと、「友達はできないけれど、見ず知らずの人に道を尋ねるのは抵抗がない」系のコミュ障だからかもしれない。  実は事務仕事に就いたこともあるのだが、ダメだった。気の合わない上司に当たると、悲惨だ。一日中その上司の目の届く所に座っていなければならないことになる。地獄だ。  その点、接客業は基本一人仕事。特にスーパーのレジは、一人のお客様に相対しているのはほんの数分。延々と苦情を言い続け、上の者に変わらせてくれないお客様もいるにはいるが少数派だ。  ある日のことである。 「なんでレジがこんな混んでんだ!」  喚くお客様がいらした。 「申し訳ございません」 「なんでだよ!」  ここで理由を説明すると、たいていのお客様はさらにヒートアップする。何故かと聞かれたから答えただけなのに、というのは若い頃の私である。 「申し訳ございません」 「申し訳ございませんしか言えねんか!」 「申し訳ございません」  お客様は帰っていかれた。
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