僕等の家にホラーはいらない!

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僕等の家にホラーはいらない!

「はーい皆さん、やってきました!ここが例の、赤く染まるという噂の“カミシロ池”でございまーす」  ああもう、また来ちゃったよ。僕は木陰からひょっこり顔を覗かせて、深く深くため息をついたのだった。  僕達の大切な憩いの場である、カミシロ公園。この公園にあるカミシロ池にて。最近ここに妙な怪談が生まれてしまったようで、おかしな人間達が次々集まるようになってしまったのである。  現在、レポーター風に喋っているのは女性の二人組だ。長いウェーブした茶髪の女性と、黒いボブカットの女性。どうやら、今流行りのユーチューバーであるらしい。スタンドに立てかけたスマホに向かってピースしたりしながら、よくわからないレポートを続けている。 「リクエストしてくださった方ありがとうございます。今日はこの池の、怪談について調べてみようと思います。……そうですね、この池が赤く染まると言われている時間までもう少しありますので、その前に少々おさらいをしておくことにしましょう。メグちゃん、お願いしまーす!」 「はーい、ここからはあたし、メグちゃんが解説しますねー」 「自分でちゃん付けなんかーい!」 「えっへー。テヘペロ!」  そのノリは面白いんだろうか。僕はこっそり観察しながらジト目になる。人間のやる茶番というやつ、何が楽しいのかさっぱりわからない。ユーチューブではそういうノリが流行しているのかもしれないが、生憎僕は興味がないので全然見ていないのだ。 「このカミシロ池には、古くから伝説があるようなんです。遠い遠い昔、そのまた昔。この土地には、非常に美しいお姫様が暮らしていました。お姫様には愛する人がいましたが、その愛する殿方は貧しい農民の生まれ。身分の高いお姫様とはけして結ばれぬ身分。二人はひそかに愛を深めながら、結婚できない身を嘆いておりました……」  暗く、じっとりとした口調でメグちゃんとやらが説明する。
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