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ベーコンとソーメン⑭
「え?」
ハッシュは鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしている。
ヒションの表情は変わらない。
「ま、待て待て待て待て」
「そ、そうだぞギ・メイ!長く苦楽を共にしたハッシュに対して言っていい事ではないぞ」
ポリスンとザーコンが叫ぶ。
「ではポリスン殿にお聞きします。あの最後の侵入者、なぜハッシュを殺さなかったのでしょうか?」
「え?いや、それは逃げるのに夢中で・・・」
「相手は暗殺者ですよ、しかも武器も持っていた。しかし突き飛ばして逃げている。これが不自然ではないと?」
「そ、それは・・・」
「さて、私の質問相手はハッシュ、貴方だ。答えなさい」
「わ、私にも何の事だか・・・ヒション殿!私は悲しいです!!あのナーデスとの戦いを共に乗り越えた仲ではありませんか!!」
「・・・・・・」
「そ、そうだぞ。理屈がつかない事もあるさ、それだけで我々の輪を乱すような言動は感心せん」
ポリスンが間に入る。
「ギ・メイよ、確たる証拠があるのか?」
ザーコンが尋ねる。
「いえ、今感じた話ですから」
「ならば、今宵はここまでだ。ハッシュはポリスン殿の部下である。ポリスン殿が目を光らせておくという事で納得せよ」
「・・・私はライズ様に対して裏切り行為をする者を決して許しません」
「・・・・・」
「分かっておる、重々分かっておるとも」
言葉が出ないハッシュに代わってザーコンが答える。
取り逃がしこそ有ったが概ね任務は順調にこなせたのに、何とも後味の悪い雰囲気を残してポリスンとハッシュは兵宿舎に戻っていった。
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