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藍の森ホスピス
青いカーテンがふうわりとゆれました。
坊やはベッドの中でぱっちりと目を開けています。
「眠れないの?」
様子を見に来たお母さんが、そっと尋ねました。
「うん、眠くないの」
坊やが頭を振ると、柔らかなくせ毛がはずみます。
お母さんはベッドサイドに腰掛けて、坊やの髪をそっとすくいました。
「ほら、夢の世界でメリーベルが待っているわよ。早く遊ぼうって言っているわ」
ベッドの上に転がっていたリネン地のぬいぐるみを、お母さんは坊やに手渡しました。
使い古して色褪せた小さな羊のぬいぐるみ。まだ坊やが生まれる前、お母さんが坊やを思って一針一針縫って作ったお人形です。
坊やは羊のメリーベルが大好きでした。
「お母さん、お話して」
坊やはメリーベルを両手でしっかり抱きしめると、お母さんにそうせがみました。
「それじゃあ、今夜は寒いから短いお話を一つだけ」
そう言ってお母さんは本棚から絵本を取り出すと、ゆっくりとページをめくるのでした。
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