46人が本棚に入れています
本棚に追加
あたしは、通りを泣きながら走った。
そうだ!
理奈の言うとおりだ。
あたしは、自分勝手で、サイテーな女だ。
愛する一番大切な人を、わざと貶めている。
本当なら、愛する自分の夫を、少しでも素敵に見えるように、気を配るのが、妻の役目だ。
それを、あたしは、自分の独占欲のために、毎日、貴文に恥をかかせるようなことしている。
あたしは、自己嫌悪と罪悪感で、涙が止まらなかった。
そして、あたしは、海岸沿いの公園に、行きついた。
涙を拭うために、バッグから、ハンカチを出そうとしたら、ふいに、目の前にハンカチが出された。
あたしが、いつも、貴文に持たせているハンカチだ。
差し出しているのは、貴文だった。
「これ……、いつもきれいに洗濯してくれて、ありがとう……使って」
そう、貴文が言った。
最初のコメントを投稿しよう!