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しかし、理奈は無邪気に微笑むと、言った。
「課長、奥様、私、ちょっと歩き疲れちゃったんで、ご一緒にお茶でもしませんか?」
ど、どういうつもりだ?!
あたしは、困惑した。
そんなあたしに気付くこともなく、貴文が笑顔で答えた。
「ああ、そうですね。僕もちょっと、休憩したいと思ってたんです。いいよね?」
あたしに向かって、貴文が訊いた。
「えっ? ええ、まあ……」
あたしは、仕方なくそう答えた。
三人で、近くの喫茶店に入った。
ウェイトレスが、水を持って来て、テーブルの上に置いた。
あたしは、アイスコーヒーを頼んだ。
理奈は、クリームソーダを、そして、貴文は、イチゴパフェを注文した。
貴文は、甘党なのだ。
イチゴパフェを頼んだ貴文を見て、理奈が微笑んだ。
「可愛い、課長。イチゴパフェですか? 私も甘党なんです。前から思ってたんですけど、私たち、気が合いますよね」
な、な、なに?!
目の前に、妻のあたしがいるのに、よくそんなことが言えるな!!!
もう、完全に、貴文を挟んで、挑戦を挑んでいるとしか思えない。
ぴくぴくと引き攣る顔に、どうにか笑顔を作り、あたしは言った。
「こ、ここ、デートスポットですけど、理奈さんは、お一人でいらしたんですか?」
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