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「ええ」
理奈は答えた。
そして、貴文を熱い瞳で、見つめながら、言った。
「私、ずっと好きな人がいたんです。その人、本当は、すごくカッコいいんですけど、自分のポテンシャルに気付いてなくて、でも、そこも大好きで……」
なぬっ?!
そ、それは、やはり貴文のことを言っているとしか思えない!!!
あたしの他に、貴文のポテンシャルに気付いていたということか?!
理奈は、そんなあたしの思いが渦巻く胸の内を、分っているかのように、あたしを、ちらりと意地悪く一瞥した。
そして、続けた。
「でも、その人、一年前に結婚してしまって……」
もう、完全に、貴文のことでないか!!!
それなのに、貴文は、その欠片も気付かずに、気の毒そうに理奈に言った。
「そうなんですか……。でも、元気を出して下さいね。きっと、もっといい人が現れますよ」
「課長……」
理奈は、貴文を見つめた。
「でも、私、その人を、諦められないんです。だって、その人の奥さんって、酷い人なんです!」
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