20人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
「省吾兄貴…ほんとにあの人、兄貴のお嫁さん?」
茶の間に落ち着いた所で、悠斗が省吾を泣きそうな眼で見ていた。
泣きそう…なんで?
「うん、嫁さんだよ。なんで?」
省吾が不思議そうな顔で聞く。とうの静流は台所だ。
「だって俺より小さくて…俺、一瞬兄貴に俺と同じくらいの妹いたかと思ってあせっちゃった」
「お前がでかいんだよ、中学生で俺と並んでるもんな」
「本当に小さくて可愛いから…まさか、大人の人とは思わなくて」
あ、要するにあれか。悠斗…思春期だな。
「兄貴のお嫁さんなんだ…がっかり」
「がっかり?」
「うん、妹だったら紹介して欲しかった」
「は?」
それを聞いて俺と西風は大笑い。省吾は思いきりあっけに取られた顔だ。
静流がいくら小さくて可愛いとはいえ、中学生は無いだろう。確かにほとんど化粧もしていないが。
「あのな悠斗、サイズで判断するなよ。うちの嫁さんは俺と同じ歳だから」
省吾はため息混じりだ。可愛いと嫁を褒められたのは勿論嬉しいだろうが、 自分の嫁が中学生に間違えられたとは、ちょっと複雑だろう。
「でも、本当に可愛い…いいなぁ兄貴」
省吾が困ったような顔で笑った。嫁さん誉められて悪い気がする訳は無いけど…なぁ、省吾?
最初のコメントを投稿しよう!