ACT.2

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  「中学生?私が?」  食事の準備を終え、省吾の傍らに座る静流に俺が教えた。省吾は余計な事を言うなって顔だが、当の静流は大笑いだ。 「ええ、うちの悠斗、静流さんに会って一目惚れして、次の瞬間に失恋だわ。あんまり静流さんが可愛いから、自分と同じ位と思ったらしいよ」 「父ちゃん余計な事を言うなよ!」  静流からご飯茶碗を受け取りながら、悠斗が西風を睨む。 「あら、可愛いボーイフレンドを作りそこねちゃった」  静流が笑うと本当に可愛い。 確かに静流は中学の頃から身長も顔の造作もあまり変わらない。俺が初めて見た頃のままだ。 中学生…最近の中学生なら通用するかも。 「悠斗、俺と静流は中学の同級生だよ。お前もそういう子に会えるといいな」 「兄貴も一目惚れか?」  その言葉に、うっと言葉が詰まる省吾。  静流が笑って見てる。 「うん…ずっと一目惚れのまま」  それを聞いて俺と西風はやはり大爆笑だった。  俺らの息子は、二人ともよく笑わかしてくれるわ。  やはりそのまま飲み会に突入してしまったので、俺らは昼過ぎから酒を飲み続け、夜にはすっかり出来上がっていた。  必然的に西風と悠斗は泊まる事になり、又、俺ら男は茶の間で雑魚寝。  酒を飲んでない悠斗まで雑魚寝は可哀想だと静流がいうが、当の悠斗はとても楽しそうだ。 とりあえず適当に布団を敷いて、その傍らで俺らは又飲み続けた。    けど省吾のヤツ、夜中にこっそり静流の所に戻りやがった。しばらくすると戻って来たけど。  静流は子供じゃないって。心配性なのか、あいつが甘えてるのか…    おそらく、両方だ。
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