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「省吾」
静流が妙に嬉しそうに省吾を呼び捨てにしていた。
あの静流が殆ど初対面の男の子を呼び捨て…?普段なら絶対に考えられない事だったけれど。
でも、何となくわかってしまった。
静流は省吾の事が気に入ったんだ。ニコニコと笑って、よく省吾を見ている。
省吾は…言うまでも無いか。時々静流と目が合うだけで耳まで真っ赤になっている。
省吾が強力なライバルになると敏感に察した大輝が、それをけん制しようとして…逆にあずさの怒りを買ったところを省吾に助けられるという、わけのわからない状況に陥ったりしていた。
俺はというと、特にそれを意識しないようにはしていたが…本当は少し複雑だった。
静流が多分初めてその存在を意識してる男子、省吾。
その省吾は静流と同じくらい小さくて、やせっぽちの少年だった。
俺は、静流を守れるくらい強くなろう、大きくなろうといつも頑張っていたけど…
静流が心を惹かれたのは、俺とちょうど逆のタイプの省吾で。
でも俺は、不思議とそんな省吾を憎めなかったのだ――
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