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出逢ってからすぐの頃、省吾の過ぎてしまった誕生日を知った静流が自分のお気に入りのオルゴールを省吾にあげようとした。
俺なら絶対断らないのに、省吾はものすごく遠慮してる。
それは本当に不自然なくらいに。
結局みんなに言われて、静流に悲しいそうな顔をさせて、やっと受け取ったけど…その時も気になった。
いつも何にでも、必ず一歩退いている省吾の姿勢。
その訳を知ったのは、みんなで省吾の家に遊びに行った帰り道の事だった。
「あのさ、雅之…」
主に話してくれたのはタキ。足りない所を美咲とあずさ。大輝は話そうとすると泣き出してしまい話にならなかった。
静流は…
静流は、ずっと黙っていた。
その時の静流の瞳が妙に大人びていて、俺はちょっとどきりとした。
「そう…か」
俺は多くを答えず、いつものように皆の先に立って早足で歩き出した。
――涙を、見られたくなかったから。
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