【守ってあげたい】

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   その年の暮れ、皆で初日の出を見に行こうという事になった。    どうせならそのまま初詣に行ってしまおうということになり、明け方の4時に大輝の家の前で皆と待ち合わせる。多分絶対寝坊するのが大輝なので、要するに予防策だ。    一応何かあると困るから、美咲は俺とタキ。静流は省吾が迎えに行った。あずさはすぐ近所なので問題ないし。  ――で、静流と並んでこっちに向かってくる省吾を見てその事に気がついた。  省吾の身長がすごく伸びている。  毎日見てるからあんまり気にならなかったけど、多分静流よりも10cm以上は高い。  静流は気が付いているのかな、結構見上げるくらいになってると思うんだけど。 「省吾、お前今、身長いくつ?」  待ち合わせ場所に来た省吾にいきなり聞いてみる。あ、明けましておめでとうも言ってないや。 「え?なんだよ雅之、いきなり…えと、確かこの前保健室で計ったら162cmだったかな」 「えっ!?うそっ!省吾私と同じ位だったでしょう?」  言いながら省吾を見上げる静流…見上げているだろ、お前。 「やだ、ほんとにおっきくなってる…省吾ずるい自分ばっかり」  やっぱり気がついていなかったんだな。静流ってば、いつまでも省吾が小っこいままだと思っていたのか。いくら見慣れているとはいえ、それもちょっとだろ。   「ずるいって…」    明らかに戸惑っている省吾。  静流、実は身長コンプレックス。未だに150cmそこそこの筈。いつも当たり前のように小学生に間違えられている。 「省吾がいるから安心してたのに、ひとりでそんなに大きくなっててずるい」 「え、でも」  ぷぅっとふくれている静流と、いきなりおろおろしてる省吾。見てる分には面白いけど。 「静流、いい加減にしてあげなよ。仕方ないでしょ?省吾のお父さんはあんなに大きい人なんだし」  美咲が助け舟を出す。もちろん、省吾の親父さんが実の親父さんじゃない事を俺たちは知ってるけど、それは省吾には内緒だ。 「そうそう、そのうち省吾も親父さんみたいにエライ筋肉質のでかい人になったりして。すげ、ちょっと楽しみ♪」 「タキ!それはちょっとないんじゃないか?俺にクマになれってか」  省吾は口ではそういいながらも実はちょっと嬉しそう。  当然だよな、自慢の親父さんだもの。 「え~省吾、お父さんみたいになるの?それはそれでいいかも♪」  静流がいきなりものすごい笑顔。 「じゃ、がんばってもっと大きくなってね!お父さんよりもおっきく!」 「えっ!?」  それはそれでプレッシャーだな。いくらなんでも省吾と親父さんとじゃ基本の体格差が…  まぁ、いいか。静流の機嫌も良くなったみたいだし。      とりあえず省吾、初詣の願い事は「もっとでかくなりますように」に決定だな。    
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