時代遅れの男たち

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  「では、境川鯉太郎っ!!リクエストアワー!!始まり始まり〜!!」  恒例の年度末にある我が全国昇竜会昇竜連合の、決算報告会という名の飲み会が東京で行われていた。  かなりでかい集まりで、家族連れの参加もOK。全国に2千人もいる連盟だから、しっかりした運営部もあり決算報告などもされている。パーソナル無線のクラブとしてはかなりの大手だ。ただ、各支部の会長も連盟幹部も運営も、ほぼみんな物流関係者。主にトラック乗りが多い。  俺は省吾も大きくなった事だし。今回、息子を連れて初めてこのイベントに参加していた。  飲み会が佳境に入った頃、鯉太郎さんはステージに担ぎ出された。毎回のカラオケ大会のほぼオオトリだというが。 「鯉さん、チャゲアスやって!」 「いや、吉幾三だろ」 「絶対に風〜!!かぐや姫〜!!」  みんなも鯉さんにアルコールがしっかり入ってるのを知っているのだ。早めじゃないと鯉さんが寝てしまう。 「は〜い、順番、順番で〜す。ではまず人気のチャゲアスから〜♪余計な〜ものなど無いよね〜♪」  俺は省吾を膝に乗せ、宴会場の最前列で鯉さんの歌を聴く。歌の好きな省吾が、目を輝かせていた。  こんな息子の笑顔が見られたのも鯉さんを始めとする、トラックの仲間のお陰だ。  ああ、本当に…  本当に、俺はトラック野郎で良かったな。  一生、トラック野郎で良い。  一生、トラック野郎が良いんだ。
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