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その裁判は、俺が手掛けた仕事の中でも比較的簡単な物だったはずだ。
離婚の際に、子供の親権がどうしても欲しいという母親からの依頼で、離婚理由が夫の浮気と言う付け入りどころ満載の案件で。
子供は3才の女の子。
依頼を受ける時に会わせてもらったその少女は、少々引っ込み思案だけどとても可愛い小さな少女だ。母親のスカートの影から俺を覗く笑顔が最高に可愛かった。
今思えば俺はその時、自分のこの弁護士としての力が、必ず誰かを幸せにする為にあるのだと。信じて疑わない自信過剰なただの若造だったのだ。
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