62人が本棚に入れています
本棚に追加
学校までの道のりをみんなが歩いていた。舗装されていない山道。通い慣れてる筈の通学路は、今の私には果てしなく感じる。ランドセルのベルトをギュッと掴んでやや俯きながら歩く姿勢は、思えば家の玄関から一度も崩していない。
「おはよー」と口々に言う声があちこちから聞こえてきた。自分に向けられたものじゃないと知っているから、ことさら下を向いて歩みを進める。
(モモちゃん、元気ないね?)
(最近見かけなかったけど、何かあったの?)
何か言ってきても、見ないし聞こえない振りをする。ごめんね、構ってあげたいけど出来ないの。だってまわりにいる誰かに見られたりしたら、また怖がられるから。変な噂が立って、今よりもっと嫌われちゃうから。
もう何が聞いていいものか駄目なのか分からなくなっていた。
私は堪らず、その場を振り切るようにして学校へと走り出した。
最初のコメントを投稿しよう!