七、じいちゃんの薬

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「――……それで……そのあと……まさか(あやかし)退治でもされたんですか?」  沈黙を破ったのは父さんだった。 「いやそれでな? 相手が(あやかし)やら(もの)()だっていうもんだから当然頭抱えて、そいたらそこに、そんなもんに詳しい住職が村はずれにある神社さいるって誰かからさ聞いたもんだから、早速そこさ尋ねたらしいんだ。そしたらば尋ねた次の日から餅さ盗られねくなったんだとさ」 「その住職は具体的に何をされたんですか……?」  まだ表情を固くしたままでいる父さんが訊いた。 「わしもそこまでは知らん。ただ原因を鎮める何かを施したんだろうが……」 「お祓いとか……ですかね……」母さんが思案気に呟く。 「……でもそれっていつの話ですか? 宗一郎さんが産まれたのってお義父さんと同じたがら……それよりも昔の話ならもうその住職も生きていないかもしれませんよね……?」 「うむ……」  宗一郎さんは話し尽くしたように、とうとう押し黙ってしまった。  話を聞いた父さんと母さんは何とも煮え切らない表情で、じいちゃんはというと、せっかく心配して来てくれた友人である宗一郎さんの言っていることを何とか信じたいけど、相手が物の()やら(あやかし)と現実味がないだけに、やっぱり何ともいえない様子だ。幽霊の仕業と言われた方が、まだ三人の中に信憑性はあったかもしれない。  するとその時だった。 「あの~、すみませぇ――ん」  店の外から若い男の人の声がして、中にいた全員が入口の方へと目を向けた。
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