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プロローグ
小さい頃の私は、自分に見えているもの全てが、みんなにも同じように見えているものだと思っていた。
でもあの日、みんなには見えないものが、私の目に映っているんだって気付いた。みんなにとってそれは、とてもとても怖いことなんだってことも。
私はまた以前のようにみんなの輪に入りたくて頑張った。見えているものから目を逸らして見ないように。聞こえてくる声には耳を塞いで聞かないように。
でも、どんなに頑張っても、一度輪から外れてしまった私が再びみんなの中に加えてもらえることはなかった。
私はただ、みんなが仲良くなれたらいいと思っただけなのに――。
二つの世界がこの先も交わることはないんだ。それなら初めから見えなきゃ良かった。
初めからそんな世界があるなんて、知らなければ良かったんだ。
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