冒険

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冒険

 ある所に冒険好きである、猫の三兄弟がいた。 三匹は誓い合った。 「これから数年、三匹別々に各地へ冒険の旅に出かけよう。   そして、そこで得たものを披露(ひろう)し合おう」と。   長男の猫一ノ助(ねこいちのすけ)は北の山地へ向かい、登頂(とうちょう)した。  その山頂で出会った猫長老から冒険勇者と認められ、その証として、ぶつけた対象物を瞬時に凍らせる氷結(ひょうけつ)の水晶玉をもらい受けた。  "何を凍らせれば面白いか……。"と考えを巡らせる猫一ノ助であった。  次男の猫二郎衛門(ねこじろえもん)は南の大きな島へ上陸した。  そこには、不思議な大木があり、小さなどらやきの形をした木の実がたくさん実っていた。  猫二郎衛門はその実を次々と口にし、ついには木の実を全て食べ尽くしてしまった。  すると、あら不思議。大木は消滅し、猫二郎衛門の身体が(またた)く間に(きた)え上げられた身体へと急成長した。  その強靱(きょうじん)な肉体から繰り出される拳による一撃は、ありとあらゆるものを一瞬で粉砕できる威力を誇っていた。  試しに猫二郎衛門は、大島に並ぶ石像をめがけて正拳突きを放つ。  石像はドミノ倒しのように倒れる間もなく、粉々に砕け散った。  ドヤ顔を決める猫二郎衛門であった。  三男の猫三田黒洲(ねこさんたくろす)は西の幻想都市へ赴いた。  猫三田黒州はその都市で、伝説の猫大工民芸士(ねこだいくみんげいし)と名を馳せた、猫大工親方へ弟子入りをし、伝説の猫大工民芸術を会得。  その術を駆使して、自分の意のままに操れる空飛ぶ(そり)を組み上げた。  早速、猫三田黒洲は試験飛行を試みる。飛行は自身の思うがままの動きを見事に体現して見せた。  猫大工民芸術の凄さを改めて実感した猫三田黒洲であった。  そして数年後、三匹は無事に再会を果たす。  猫一ノ助は氷結の水晶玉を、猫二郎衛門は自身の拳の力を、猫三田黒洲は自作の空飛ぶ橇を披露し合った。  その後、三匹は東の都市にある観光鉄塔から黒煙が上がっているのを発見、三匹は猫三田黒洲の橇に乗って駆けつけた。
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