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【あとがき】
2040年。少子高齢化へのアンサーとして、日本は効率化へと舵を切っていた。特に、日本の首都の首長は効率化をコアコンピタンスとするストラテジにアグリーしており、施作第一弾としてブルーオーシャンにローンチされたのが、嘗ての山手線。東京環状線~感情とともにライン~である。
「列車をより効率的に動かすには、一本の円形のベルトコンベアを用意して、ひたすら回転されればいいじゃない」との鶴の一声ドリブンで、東京環状線は誕生した。速度を落とさず、常に高速回転するベルトコンベアに搭乗するために、高速道路の合流地点方式に倣ったシステムが開発された。具体的には、駅に相当する位置から高速で動き出す搭乗ベルコンに乗ることで、東京環状線へと乗り移るという寸法だ。高速過ぎて人身を強く殴打し、記憶喪失になる例もあるとのことだが、記憶がない方が無心に働けるため、むしろ効率的であった。
度々乱心の末、東京環状線から第一宇宙速度で射出されて亡骸となるものも続出したが、非生産的な人畜を処分する上では効率的であった。なんなら、東京環状線の下にはごみ焼却ラインも流れており、亡骸は即座に焼却できるため、効率的であった。「自殺で電車が止まるくらいなら、電車で亡骸の処理をすればいいじゃない」この画期的な発想はベストアイデアジャパンの年間大賞にも選出された。こうして、日本はかつての歯車的人生に回帰し、世界有数のGDP国となるのであった。
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