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「私たち、もう終わりにしよう」 「佐々木!」 きっと、聖には説明しても伝わらない。 私のこの寂しさも、悲しみも、悔しいと感じたことも全部。 「は、今の生活が充実してるんでしょ。大事にしたらいいんじゃないの――」 高校時代、野球が大好きで、全力で打ち込んでいる聖がかっこよくて好きだった。 自主トレを欠かさないところも、毎日帰宅後に走り込みしているところも、キャプテンに抜擢されて奮闘しているところも。 真面目で、野球一筋な彼が好きだった。 マネージャーの私に、改善点を聞いて少しでも次につなげようとするところが、泥だらけの彼が眩しかった。 マネージャーの私以外の女子とは、対面で喋れない不器用でシャイな彼のギャップが好きだった。 できることなら、そのままの彼でいてほしかった。 彼にだけは、変わらずいてほしかった。
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