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*3*
――2017年秋
「絢、こっちこっち」
2年生の夏休み明け、高校時代の友達と会う機会があった。
「皆オシャレになったよね」
「んね」
皆で使っているメイク用品や、服をどこで買っているかの情報をシェアしたり、高校時代の思い出でひとしきり盛り上がった後、話題は私と聖のことになった。
「あんなに仲良かったのに、あっさり別れたよね」
「まさか池戸くんがあんなこてこての大学デビューしちゃうなんてね」
あの後、私は終電で帰ったし、別れ話はメッセージのやり取りであっさり済んだ。
高校での2年間は何だったのかと思うほど、淡白な終わり方だった。
「池戸くんといえば、見てよこれ」
友達が、カフェのテーブルの真ん中にスマホを置いた。
そこには、写真投稿SNSの、聖のアカウントが表示されていた。
アパレルショップの試着室で、あの時いた女子のひとりとツーショットを撮っている。
ハッシュタグには、今日のコーデを意味するものがつけられていて、表情は高校時代からは想像できないくらいキメキメだ。
なんていうか…
「「染まってるね」」
3人で口を揃えて言った後、私たちは顔を見合わせ、笑った。
それからSNSは閉じ、高校時代の思い出話を再開するのだった。
Fin
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