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聖とは、彼が通う大学の前で待ち合わせた。
東京の大学だからか、大学の敷地内を歩いている女子は皆手足が長くてスタイルが良い。
服もオシャレで、私は場違いな気持ちになった。
早く聖、出てきてくれないかな。
泊まりの荷物が入ったリュックの肩掛けをギュっと握りしめる。
場違いな場所にひとりでいるのが、とても心細かった。
「佐々木!」
相変わらず、私を名字で呼ぶ聖の声が聞こえた。
顔を上げると、私の記憶にあるのとは全然違う聖が、正面から歩いてきた。
ブランドものの大きなリュックを背負って、ダボっとしたレイヤード風のパーカーに黒いスキニー、ストリート系のごついスニーカーをまとっている。
髪型も、前に見た伸びかけ坊主頭とは打って変わり、茶髪に染めてツーブロックにしている。
伸びた髪はワックスでセットしてあって、シルバーのアクセサリーを身に着けていて、高校時代とはまるで別人だった。
圧倒されていると、聖は私の頭にポンと手を乗せて、
「変わんないな!遠くから見てもすぐわかった」
と笑いながら言った。
聖の周りには、聖と似たような背格好の男子数名と、脚と髪が長いオシャレな女子数名が並んでいる。
「聖、その子誰?」
「カノジョ?」
周りの人の質問に、聖は
「高校時代のツレ」
と笑いながら答えた。
え?
私は、予想していなかった言葉に困惑する。
付き合ってると思ってたのは、私だけってこと?
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