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その時、聖からメッセージが届いた。
「からかわれたくないから、カノジョってこと隠しといて」
からかわれたくない…かぁ。
高校時代は、そんなこと気にせず、周りに話してくれたのに。
周りの目も気にせず、毎日一緒にいたのに。
周りの女子が可愛いし、私をカノジョとして紹介するのが、ホントは恥ずかしいのかな。
でも、私を傷つけないように、“からかわれたくないから”って言ったのかな。
私は聖に気づいてほしくて、高校時代の恰好に寄せて、メイクも薄くした。
でも、聖はガラッと別人みたいだ。
高校時代は、ロゴ入りのTシャツとデニムでデートに来る人だった。
アクセサリーには全然興味がなくて、カバンはスポーツバッグだった。
野球部を引退してからも、大容量だからってスポーツバッグを使い続けていた。
なのに、今じゃブランドもののリュックを使ってるなんて、想像もしてなかった。
バイト、頑張ってお金貯めたのかな。
「今からこの子を東京観光に連れてく予定だから、今日はこれで」
聖が、周りに手を振る。
「えー、聖帰るとかつまんない」
「そうだ、私らも一緒にまわろっか?」
え。私は、聖の方をチラッと見た。
まさかオッケーしないよね?
「えー…っと…」
「だって、カノジョって訳でもないんでしょ?東京来て数ヶ月の聖より、私らのがもっといろいろ名所知ってるよ?」
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