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「ま、まぁ、ママ活なんて今時珍しくも何ともないしさ」 「あんま気にすることじゃないとは思うよ」 「東京の大学生なら大体皆やってるって」 後付けでフォローするように、男子が口々に言う。 でも、ほとんど頭に入ってこなかった。 今の聖が身に着けているものは、そういうことをして手に入れたものなんだと思うと、聖が全く別の何かに思えた。 東京で周りの人の影響を受けて、オシャレになったんだと思った。 それなら別に、受け入れるのに時間はかかっても、拒絶はしなかった。 でも、そういうことなら話は別だ。 真っ当なやり方ではない方法でお金を稼いで、本来手の届かないものを身に着けているのなら、受け入れることはできない。 きっと目の前の男子たちが言うように、珍しいことではないんだろう。 きっと聖は、周りの人がやっているからと、東京の色に染まっただけ。 でも割り切れないのだ。 「ちょっとトイレ…」 私はゆっくり立ち上がり、部屋を出た。 気分が悪かった。
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