友達にはなれない

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1時限目の授業が終わり、休み時間に冷は今授業でやったところの内容を復習している。  休み時間に復習するのは良い時間の使い方だ。  頭を休ませるための時間でもあるが、授業はプロの教師が授業として無駄が無く教えるため、1回の授業でかなりのペースで進むが本当に今受けた内容が頭に入っていてよく理解しているのかというと流れで進んでいるだけで実際は意外と理解しきれていない事が多いい。なので、授業が終わってすぐに復習するのは効率が良くまた、自分のペースで復習していけるので授業内容の理解度がぐっと増す。  そのまま俺は周りを観察しようとしていると冷の所に小森が歩いてくる。  不安そうな表情で「あ、あの・・・」と声をかける。  「何でしょうか?」視線を小森の方に向けるも手は復習用のノートに向かって動かしている。いや器用すぎだろ。  「えっと、その、ぼ、僕と友達になってください!」と緊張から大声で発してしまう。  「なりません」冷は無表情のまま即答する。  「あの、僕に何か悪いところがあるなら頑張って直しますから、その・・・!」小森は顔を真っ赤にしてそう言う。  「そう言う問題ではありません。まだあなたの事はよく知りません。ですからどんな性格でどのような考え方をするのか、あなたの悪いところなど、ぼくは全く知りません」表情を変えず淡々と言う。  「じゃあ何で・・・!?」緊張と焦りで語尾のトーンが上がる。  「あなたはぼくの自己紹介での発言をちゃんと聴いていましたか?ぼくは誰とも友達になる気はありません」小森と対照的に落ち着いたトーンでそう言う。  「・・・すみませんでした」と悲しそうな顔で自分の席に戻っていく。  そのすぐ後にチャイムが鳴り次の授業が始まる。
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