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「なにもありませんよ。それよりそちらのお二人は?」
「ああ、こっちは四季絵景でこっちは夏目貴志。中学からの俺の友達だ」
「始めまして。清水冷と申します」と礼儀正しく自己紹介をする。
「いや、優の友達なら俺らとも友達みたいなもんじゃん。冷よろしくな!」と景が話しかける。
「いえ。ぼくは誰とも友達にはなりません。それとあなたに冷と下の名前で呼び捨てにされる覚えはありません。ぼくの事は清水さんと呼んでください」
「「え?」」
景と貴志は驚き思わず顔を見合わせる。
俺も少し驚き、「あー気を悪くしたらごめんだけど、本当に何かあったんじゃないのか?」と心配になりそう声をかける。
「本当に何もありませんよ」変わらず無表情で答える。
驚きつつも「もしかして俺も清水さんて呼んだほうが良いか?」と気を回しそう訊く。
「いえ、海野さんには小学生の時に仲良くしていただいた恩があるので冷と下の名前で呼び捨てで呼んでいただいて構いません」
「そうか?」なら今まで通りそう呼ばせてもらうわ、という。
「あー、少し変わっちまったみたいだけど、冷は良い奴だからどうか気を悪くしないでやってくれ」と2人に紹介する。
「優が言うならそうなのかもだけど、なんか取っ付き難い人っていうか…」
「面と向かって友達にならないって言われるとちょっとショックだよな…」
2人とも顔を見合わせてそう言う。
第一印象は最悪だった。
気まずい雰囲気を変えるため、そして二人に冷を見る目を悪くしないため「気を取り直して俺らと一緒に学校を回らないか?」と軽い感じで誘う。一緒に見て回りながら関係を修復しようと試みる。
無表情から少し驚いたような顔をし「良いのですか?今さっきあのような事を言ったのに」と冷は訊き返す。
「気にするな。人間性格も考え方もいろいろだ。自分の考え方に当て嵌まらないからといって否定はしねえよ。景と貴志が嫌ならやめるけどもそれで良いか?」
「まあ友達にならないって言われたけど、優の親しい知り合いなら構わないけど」
「優の言うとおり、人間性格も考え方もいろいろだし、否定はしたくないよ」と景と貴志は了承してくれる。本当に良い奴らだ。気まずくならなくて本当に良かった。
気を取り直して部活の勧誘の場所に出る。
様々な部活があり見て回るだけでも楽しい。
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