これがぼくの接し方

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殴られる、という事を意識しすぎてしまったせいでそれ以外の情報に目を向けられなかった事と、その殴られる瞬間に冷が何をしたのかを前もって意識できていなかった事で見えなかったが、今度は最初から冷が何かをすると注意していたためしっかりと見えた。  自分に向かって振るわれた拳を平手で受け流している。  不良は不愉快そうに一発で止めようとせず当たるまで何度も殴りかかる。  だけど冷はその全てを平手で受け流したり、顔や体を最小限の動きで避ける。  そして瞬間的に近づき相手の後ろ側に右足をかけ、そのまま右手で相手の胸を正面からおもいっきり押し込み一切の無駄のない動きで倒れさせる。  その流れのまま拳を振り倒れた不良の眼前で殴ろうとした拳を寸止めして、そのまま顔を上から相手の顔に近づけ見下ろすようにして、「これ以上続けるのでしたら、今度は遠慮なく殴りますよ?」と鋭い目つきで言う。  「・・・あ・・・あ、あ」不良は今までの怒りがどこかへ飛んだかのように体を震わせる。  そりゃそうなるのも無理はない。明らかに実力の差がありすぎた。  そこへ先生方が現れ周りの生徒達が状況を説明してくれて不良は連れていかれ、冷は特に暴力を振るったわけでも無かったのでお咎め無しで事態が収拾した。  だけど、事態が収拾した後もしばらくは今の出来事が話題に上がっていて周りからは、あの新入生、この学校内だけでなく他校の生徒とも喧嘩して負けなしだったのが武勇伝だった火村に勝ったぞ、と抑え気味にザワついている。  そんな危険な奴だったのか。
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