これがぼくの接し方

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 俺はしばらくしてどうにか気持ちが落ち着き、景と貴志も安心したような顔で、寄ってくる。特に景は心底安心した、というようなややオーバーともとれるほどの表情をしている。  俺は冷に「いやー冷や冷やしたぞ。間違いなく寿命が少し縮んだわ。それにしても冷、どこであんな体術憶えたんだ?」と話しかける。  「まあ、身を護るすべは身に付けていたほうが良いので。我流ですが」  冷は最初からずっと堂々としていて特に緊張したりビビっているようには見えなかった。  それを見てずいぶん昔と変わったな、と思う。  連絡がつかなくなった3年の間に冷にはいったい何があったのだろうか。少し不安とも呼べる感情が沸く。  そんな中「そう言えば、皆さんはどのクラスになったのですか?」と俺の心境なんて知りもせずついさっきの騒ぎを何でもなかったかのように表情を変えず、聞いてくる。  それが腹ただしいかというと、どちらかというと不安な気持ちになってしまうという方が強い。  何があったんだ?と聞いてもきっと答えてはくれないだろう。    花弁を舞わせて暖かい、気持ちの良い風が吹く中、新しい学校生活に期待と不安が混じった何とも言えない気持ちで校内に入る。
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