これがぼくの接し方

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俺と景と貴志に明理、そして冷はなんと全員同じクラスに決まっていた。偶然という表現では言い表せない程の奇跡的な確率だ。  自分達のクラスに入り、席に着く。  本当は不安を紛らわすためにも教室内で少し皆と喋っていたいが最初なので大人しくしていようと思う。  この学校での新しい友達を作る時に、教室に入って早々に今の友達と一緒にいると、良い方に向けばそのグループに入って一気にそのグループ全員と友達になれる事を狙って話しかけてきてくれるパターンと、悪い方に向くと派閥が出来てしまい近寄りがたい空気になってしまうパターンがある。  皆その事をよく理解しているので自分達の席に大人しく座っている。  そして、まだ慣れないクラスと周りに馴染む前の学校生活の最初の時特有の空気で、みんな緊張をしているのが俺自身の今現在の心境もあって良く分かる。  ちなみに、俺は人間観察が趣味だったりするので基本的に周りの空気を読んだり察するのが得意な方で自分で言うのもなんだが、コミュ力はそれなりに高い方だと思っている。  また、人付き合いを煩わしいと思った事は一度もないし、友達が困っていたらそれが面倒事であったとしても普通に協力する。  なので、少し脱線したが俺と同じように自分の席についているクラスメイト達を観察しながら、景と貴志と明理と冷たちもそれぞれ見ていると、景は誰がどう見ても緊張していると分かるような、気持ちがそのまま顔に出ている。少し面白い。  貴志は自分のスマホをいじっているのが見える。貴志の趣味は読書なのでネット小説でも開いて読んでいるのだろう。  明理を見ると早くも教科書に目を通している。相変わらず真面目だなと思う。  冷を見てみると体を姿勢良くして辺りを見回している。自分でも気づいたのは意外だがよく見ると視線がいろいろな方に向いていて教室の情報を細かく収集しているように見える。いや、冷、お前は何に気が向いているんだ、と思ってしまう。  しばらくそんな時間を消費していると担任の先生が教室に入ってくる。
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