これがぼくの接し方

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担任の先生は35歳くらいに見える。新任教師ではないが高齢で融通が利かない、考え方が古くなり堅くなる年齢でもなく、性格にもよるだろうけど生徒側が意見を言いやすそうな雰囲気ではある。  「先生は生徒達を正しい方へ導く為に“教えて”“育てる”『教育』をしっかりとして社会に出てもやって行けるように色々教えていきたいと思っている。基本的にちゃんと授業を受けて提出物をしっかり提出する、テストで平均点を取っていればちゃんと評価する。今挙げた事は生徒として当然の行動だが、その当たり前の行動が社会で何よりも大切だと思っている。だから先生はその当たり前の事をこなせばしっかりと評価しようと思っている。授業は難しいと思うがしっかりとついてくるように。以上だ」  先生の簡単な挨拶が終わり、今度は生徒同士の自己紹介が始まる。  出席番号順に1人1人自己紹介をしていく。  俺の番になり起立し「海野優っていいます。好きな科目は社会。趣味は人間観察で、友達を沢山作りたいと思っています。気軽に接してください。よろしくお願いします」と自己紹介を済まし着席する。  また次の人が自己紹介をしていく。  そして冷の番になる。  冷は起立し無表情のまま「清水冷と申します。最初に言わせていただきますが、ぼくはこのクラスの誰とも友達になる気はありません」  周りがザワつく。  「ぼくはその姿勢で皆さんと接します。ですので皆さんもそのつもりでぼくと接してください。以上です」  予想は出来たが、本当にまだお互いを詳しく知らない新しいクラスメイトたちが集まってこれから仲良くしていこうとする為の最初の自己紹介で冷は堂々と言い切った。  俺は顔に手を当ててため息をつく。
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