ある朝のこと…

1/2
9人が本棚に入れています
本棚に追加
/10ページ

ある朝のこと…

エリーの朝は、意外と早いのです。 それは、早起きが得意だから…ではなくて エリーの部屋に居座っているあの『同居人』のせい、 でして…。 『腹減ったよ、エリー』  「… … …」←頑張って寝ています。 『なあ、エリー』 「ううん……」←タヌキ寝入り、です。 『だから、腹が…』 「チャーリー。昨日は課題作りで遅かったんです。 まだ起きませんからね…」 お布団にくるまって目を閉じたまま、 エリーが言いました。 『課題って、あのでっかいケーキのことか?』 ちなみにエリーは製菓の専門学校の2年生です。 「そうですけど…?」 『じゃあ、アレでいいや。ちと甘いがな』 「えっ… だ、ダメ〜〜〜!!!」 エリーが慌てて飛び起きると、 枕元にチャーリーがふふんとばかりに座っていました。 台所のテーブルの上には 課題のウエディングケーキが…。 どうやら無事のようです。 「はあ…やられました。チャーリーは意地悪ですね」 「そうかあ?普通だろ」 …ネズミの普通なんて知らないんだけど(怒) そう、チャーリーはエリーの部屋の壁に 穴を開けて住んでいる茶色のネズミでした。 (茶色だからチャーリーのようです) 「人間のクセにおいらと話せるヤツは エリーが初めてだぞ」 「でしょうね、たぶん。」 「なんで話せるんだ?」 「さあ…私にもわかりません。ちなみにネコ語も いけちゃいますけど?」 「げっ!!ネコだと!?ヤツの話はやめとくれよ」 「え?ネコとネズミは仲良しなのでは?」 「それ、アニメの誤情報だろ。ったく…」 チャーリーはちょっと大袈裟にため息をつくと、 「あんな悪魔と仲良しだとか、虫唾(むしず)が走るぜ…」 「悪魔…ですか?」 「あいつらは…俺たちを玩具(おもちゃ)だとしか 思ってないのさ」 「玩具(おもちゃ)…」
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!