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ある朝のこと…
エリーの朝は、意外と早いのです。
それは、早起きが得意だから…ではなくて
エリーの部屋に居座っているあの『同居人』のせい、
でして…。
『腹減ったよ、エリー』
「… … …」←頑張って寝ています。
『なあ、エリー』
「ううん……」←タヌキ寝入り、です。
『だから、腹が…』
「チャーリー。昨日は課題作りで遅かったんです。
まだ起きませんからね…」
お布団にくるまって目を閉じたまま、
エリーが言いました。
『課題って、あのでっかいケーキのことか?』
ちなみにエリーは製菓の専門学校の2年生です。
「そうですけど…?」
『じゃあ、アレでいいや。ちと甘いがな』
「えっ… だ、ダメ〜〜〜!!!」
エリーが慌てて飛び起きると、
枕元にチャーリーがふふんとばかりに座っていました。
台所のテーブルの上には
課題のウエディングケーキが…。
どうやら無事のようです。
「はあ…やられました。チャーリーは意地悪ですね」
「そうかあ?普通だろ」
…ネズミの普通なんて知らないんだけど(怒)
そう、チャーリーはエリーの部屋の壁に
穴を開けて住んでいる茶色のネズミでした。
(茶色だからチャーリーのようです)
「人間のクセにおいらと話せるヤツは
エリーが初めてだぞ」
「でしょうね、たぶん。」
「なんで話せるんだ?」
「さあ…私にもわかりません。ちなみにネコ語も
いけちゃいますけど?」
「げっ!!ネコだと!?ヤツの話はやめとくれよ」
「え?ネコとネズミは仲良しなのでは?」
「それ、アニメの誤情報だろ。ったく…」
チャーリーはちょっと大袈裟にため息をつくと、
「あんな悪魔と仲良しだとか、虫唾が走るぜ…」
「悪魔…ですか?」
「あいつらは…俺たちを玩具だとしか
思ってないのさ」
「玩具…」
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