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「染さん、お久しぶりですね。今日はどうされました?」
チラリと満月に視線をやりながら近づいてきた店員さんは、胸元ざっくりなもこフワニットにタイトなスカートを履いて、カツカツとロングブーツのヒールの音を立てながら染にぴったりとくっついている。
「うん。彼女に似合う服を選んで欲しいんだ」
染にそう言われ、今度はしっかりと満月に視線をやる店員さん。
満月は、身を構え姿勢を正した。
「そう、ですか……染さんが誰かを連れてこられるなんて、珍しいですね」
満月を警戒するかのような視線を向ける。
“な、何か、怖いっのは……気のせい、かな?”
モジモジし始めた満月を見た染は「そうかな?」
そう言いながら、するりと店員さんから離れ、満月の後ろに立つと「これ何かどう?」と、前に畳まれている服に手を伸ばし、満月の前に当ててみる。
濃いめの緑色のAラインのワンピースで、袖はモコモコフワフワな素材になっている。
あてがわれたワンピースに視線を落とし「私、ワンピースなんて、着た事ないです」とボヤくと、すかさず店員さんが割り込んできて「でしたら、そのワンピースより、こちらのパンツの方がお似合いかと思いますけどぉ」と、スキニーのデニムパンツを広げて持ってきた。
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