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「みつきちゃん、スタイル良いから何でも似合うと思うんだ」
道中、終始染が会話のリードを取ってくれている。
満月は、道行く人の視線が気になり、それにただ相槌を打つだけで上の空だった。
突然手を引かれ、また染の胸元に飛び込む形になった瞬間、現実戻され慌てふためいていると、
「みつきちゃん、呼んでも“はい”って言うだけだったから、ちょっと強引に引っ張っちゃったけど、前から来た人とぶつかりそうになってたよ?」
「えっ!あっ、ご、ごめんなさい.......」
「僕は大丈夫。みつきちゃんとこうして密着できるから」
そう言われ、顔から火が出そうになるくらい真っ赤になりながら染を見上げた。
「もうっ!離してくださいっ!」
「はははっ。可愛いなぁ。あ、店ココ。入ろっか」
店内はアロマの爽やかな香りに包まれた、可愛らしい内蔵の店だった。
置いてある服やズボンは、内装とは裏腹なシックで落ち着いた品々になっている。
「僕的には、あっちの店の服を着て欲しいけど──」
指を刺された先に視線をやると、お店と道路を挟んだ向かいに建っているお店のウインドーに飾られている、黒とピンクと赤で染められたフリフリのワンピースが見え、ゾッと鳥肌が立った。
「からかわないで下さいっ!」
クスクス笑いながらも「いや、みつきちゃん色白だから、あの格好だって似合うよ?」
「年齢的にアウトですっっ!」
“何のコスプレですかっ!!一生縁のない洋服じゃないっ!”
慌てふためいてる満月を見て楽しんでいる染に、店員さんが近づいてきて、声をかけてきた。
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