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1.宝石のように
きらきらでひらひら。狐娘の狐乃音にとってアイドルという存在は憧れそのもの。
暗闇に包まれた会場。宝石のように光り輝く照明と、アイドルが着ている可愛らしい衣装が合わさって楽しげなオーラが揺らめく。ステージを所狭しと踊って歌い、客席にいる人々を笑顔で魅了するパフォーマンス。
「わあぁ」
それはテレビの大画面に映し出された動画配信サイトの映像。決して画質が良いものではなかったけれど、狐乃音にとってそんなことは些細なこと。魅力が失われたりしない。
ある時、狐乃音は保護者であるお兄さんに『狐乃音ちゃんは、こういうの好き?』と、薦められるままにアイドルがライブを行っている映像を見た。そしてあっという間に夢中になっていた。
それは決して一般的な有名どころのアイドルではない。地下アイドルと呼ばれるようなマイナーな存在。けれど、たとえ知名度に難があったとしても狐乃音にとっては憧れの存在だった。
「可愛いです~!」
狐娘特有のボリュームたっぷりふさふさもふもふ尻尾がご機嫌に揺れる。
そして狐乃音はいつの間にかサイリウムを両手に持って、左右に振り回していた。
「応援しちゃいます!」
アイドルさんはものすごく大変そうだけど、一生懸命。狐乃音は、なんだか自分も一緒に参加したいようなそんな気持ちになっていた。
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