14 S

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 夏休みに入ってからは、遊びの誘いも入れて週に2、3回羽村にメッセージを送ってる。  その返信がくるのは大抵22時を過ぎてから。  だから今日は22時ちょっと過ぎぐらいにメッセージを送ることにする。  そうすればリアルタイムでやり取りできるかもしれない。  リアルタイムなら、いつもより説得できるかも、てゆーか粘れるかもしれない。  なんとか、どうにか羽村と遊びたい。  とりあえず、くまが「こんばんは」って言ってるスタンプを送って、 ーー羽村、中島から聞いたんだけど、来週の木曜部活休みなんだろ?遊び行こうぜ!  というメッセージを送った。  あ、なんで中島が?って思うかな。  そう思ってすぐに次のメッセージを送った。 ーーあ、中島の姉ちゃんの友達が女バスにいるんだって。その情報。  3通のメッセージ。全部にパパッと既読が付いた。  羽村見てる!  やっぱこの時間になったらゆっくりスマホ見たりしてるんだな。  …でも、返信がこない… ーー羽村、見てんだから返信してよ。  何か反応してよ。いいよって送ってきてよ。    胸がドキドキいい始める。  中島の、羽村を遊びに誘った日とバスケ部が休みの日が重なってた事があった、っていう言葉を思い出した。  …オレに会うの、やなのかな…    だから、何て断ろうかって考えてんのかな。いやでも案外、見てすぐそのままトイレにでも行ったとか、家族の誰かに呼ばれたとか?  どんどんドキドキが大きくなってくる。  も、やだ。待てない。  アプリを開いて、通話のアイコンを「えいや!」って押した。  出てくれる?くれない?  出て?ねぇ、出てよ羽村。 『…もしもし』  出た!! 「あ、羽村ー、なんだよ早く出てよー」  声、久々に聞いた。 『悪い。ちょっと…手が離せなくて…』  低い声が、耳の奥にじわっと染みる。 「別に謝んなくていいけどさ。来週の木曜、遊び行こ?もう全然予定合わなくて遊べてねーし。このままじゃ夏休み1回も会えないで終わっちゃうじゃん」    それはやだ  絶対やだ  羽村に会いたい 「ねー羽村。どこ行く?どこ行きたい?部活ばっかで遊べてねーんだろ?」  てゆーか返事して、羽村。オレばっか喋ってる。  何か言ってよ… 『…俺は…どこでも…』  わ、やっと喋った! 「あ、あ、てかどこでもって事は、とりあえず木曜OKって事だよな?わー、やった!マジでこのまま会えないんじゃないかと思ってたから嬉しい!」  嬉しい!嬉しい!わー、どこ行こ。 「じゃ、さ。中島と三田とオレで考えて、2、3ヶ所くらいに絞ってまた連絡するって感じでいい?」 『ああ、それでいい』  あれ?声、ちょっと変わった?気のせいかな。でもとりあえず。 「あー、電話かけてよかったー。電話まですんのはウザいかなって思ったんだけどさ。でもオレ羽村と遊びたかったし」  遊びたかったっていうか、会いたかったっていうか。 『…俺も、会いたかったよ、佐伯に』  え、え、えっ 「わ、マジで?実はオレさー、羽村に避けられてんじゃないか、とか思っちゃってたんだけど、勘違いでよかったー」  嬉しい嬉しい!すごい嬉しい!  会いたかったって言ってくれた…! 「じゃあまた連絡するね、羽村。おやすみー」  やったやった!羽村に会える!  どこ行こ、何着て行こー?  あ、まず中島に連絡しよーっと。  わー、楽しみだなー。来週の木曜。  早く早く、羽村に会いたい
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