星の下で君の名を

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 別の意味の沈黙が辺りを包む。  それを破ったのは蓮の小さな声だった。 「君が卒業してからならいいかも。も、もちろん、君の気持ちが変わってなかったら、だけど……」 「変わりません。先生のこと、ずっと好きでいます」  空に瞬く星が、急に明るく瞬きだした気がする。  ダメだ。  ホッペが赤いのがきっとバレてしまうと、蓮は芋けんぴの袋を胸に抱きしめた。 「そのときは、きょ……きょういちろうって呼ぼう、かな」  コクリ。  梗一郎が頷く気配。  チラと見上げた梗一郎の顔が、ほのかに赤く染まっているのは気のせいか。
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