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『光の収穫祭』が終わって早二週間。騎士や魔法騎士たちは後片付けに追われ、セイディは代表聖女としての任務を終えたことから、メイドに戻った。
ミリウスはセイディに成果報酬として多額の現金と様々なものをくれた。それにホクホク顔になったのは、記憶に新しい。
「そういえば、セイディ。知っているかな?」
「……何が、ですか?」
不意にフレディが真剣な表情になったので、セイディは首を軽くかしげながら、フレディに向き合う。すると、彼は「……今度、ヴェリテ公国で大きな会議があるんだって」と言いながらウィンクを飛ばしてくる。
「……大きな会議、ですか」
「そう。各国の重鎮たちが集まって、いろいろなことを話すの。……この王国からは多分、ミリウス殿下が行くんだろうね」
「……はぁ」
いや、その情報は一体どこで役に立つのだ。
一瞬だけそう思ったが、ミリウスがいなくなるということはこの王国の戦力が少なくなるということでもある。
マギニス帝国に狙われている以上、ミリウスがこの王国からいなくなるのは、ある意味致命的かもしれない。
「まぁ、陛下が一応帝国の方にいろいろと文書を出しているみたいだし、何とかなるんじゃないかな?」
「……楽観的、ですね」
「まぁね。僕も話せることは全部話したしね。皇帝陛下にはなんだかんだ言っても……うん」
「どういう意味ですか」
「いいや、何でもないよ」
そのフレディの言葉は、何となく引っ掛かる。
しかし、セイディはそれを問うことはなかった。
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