722人が本棚に入れています
本棚に追加
「団長がそう簡単にくたばるわけがないわ。……とにかく、団長から連絡を受けて私の方はこっちに駆けつけてきたのよ」
「……ミリウス様、が」
「えぇ」
リオはセイディと目線を合わせ、「続けられる?」と優しく問いかけてきた。……続けられるかというのは、自分に課せられた役目のことだろう。それは、セイディにもすぐに分かった。
(そもそも、続けられるとか続けられないとか、そういうことじゃないのよ)
そうだ。続けるとか、続けないとか。そういうことじゃない。続けるしかないのだ。だって、それがセイディに出来る精いっぱいのことだから。自分が出来る、唯一の抗う術なのだから。
「できます。……なので、護衛の方、お願い、出来ませんか?」
ミリウスの元に戻るのはリスクが高すぎる。そういう意味を込めてそう言えば、リオは「分かったわ、元々そのつもりよ」と言葉をくれた。……どうやら、セイディとリオは似たような考えをしていたらしい。いや、この場合は違うのだろう。リオがセイディの思考回路を分かっている。これに、尽きる。
「……とりあえず、近くまで背負ってあげるわ。……乗りなさい」
「……い、いえ、その……」
「いいから。疲れたのでしょう?」
疲れたことに間違いはないし、リオのその提案がとてもありがたいことだということも分かる。しかし、ちょっと反応に困ってしまう。抱っこではなく背負うということがまだマシなのかもしれないが。そう思いながら、セイディはじっと考え込むフリをして……「お、お願い、します」と声を発した。疲れには、勝てなかった。
最初のコメントを投稿しよう!