導き(1)

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「団長がそう簡単にくたばるわけがないわ。……とにかく、団長から連絡を受けて私の方はこっちに駆けつけてきたのよ」 「……ミリウス様、が」 「えぇ」  リオはセイディと目線を合わせ、「続けられる?」と優しく問いかけてきた。……続けられるかというのは、自分に課せられた役目のことだろう。それは、セイディにもすぐに分かった。 (そもそも、続けられるとか続けられないとか、そういうことじゃないのよ)  そうだ。続けるとか、続けないとか。そういうことじゃない。続けるしかないのだ。だって、それがセイディに出来る精いっぱいのことだから。自分が出来る、唯一の抗う術なのだから。 「できます。……なので、護衛の方、お願い、出来ませんか?」  ミリウスの元に戻るのはリスクが高すぎる。そういう意味を込めてそう言えば、リオは「分かったわ、元々そのつもりよ」と言葉をくれた。……どうやら、セイディとリオは似たような考えをしていたらしい。いや、この場合は違うのだろう。リオがセイディの思考回路を分かっている。これに、尽きる。 「……とりあえず、近くまで背負ってあげるわ。……乗りなさい」 「……い、いえ、その……」 「いいから。疲れたのでしょう?」  疲れたことに間違いはないし、リオのその提案がとてもありがたいことだということも分かる。しかし、ちょっと反応に困ってしまう。抱っこではなく背負うということがまだマシなのかもしれないが。そう思いながら、セイディはじっと考え込むフリをして……「お、お願い、します」と声を発した。疲れには、勝てなかった。
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