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セイディの問いかけに、ジャックはため息をつきながらそんな言葉をくれた。……ジャレッドが、セイディに会いたいと言っている。それは一体、何の目的からなのだろうか? 情状酌量を求めるのだろうか? それとも、自分は無罪だと喚くのだろうか。はたまた、セイディの所為だと喚くのだろうか。理由はいくつか思い浮かぶが、ろくでもないことしか思い浮かばない。ジャレッドには、そこまで信頼も信用もないのだ。
(けど……私も、ジャレッド様に訊きたいことがあるのよね)
主に、アーネストのことで。心の中でそう思うからこそ、「会いたくないです」とその言葉を蹴り飛ばすことも出来ない。それに、わざわざジャックがセイディの意思を確かめに来たということは、そういうことなのだろう。彼も、ジャレッドから何かの情報を引き出したい。そして、その役目にセイディを選んだ。理由はきっと、ジャレッドとセイディが元婚約者だから。もしくは、旧知の仲だからだろうか。
「……もちろん、無理にとは言わない。……なんだかんだ言っても、俺はお前に辛い思いはしてほしくない」
が、次にジャックから出た言葉はあまりにも意外な言葉で。セイディは目を丸くした。どうして、ジャックがそんなことを言うのだろうか? そこそこ仲良くなったとは思っているが、そこまで想われるような理由が……思い当たらない。
「え、えぇっと……」
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