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(この気配……やっぱり、ジャレッド様と同じ状態、か)  神官長と向き合いながら、セイディは内心でそう零す。そして、一旦深呼吸をする。その後、神官長をまっすぐに見据える。彼の目は何処となく焦点が合っておらず、正気ではないことは一目瞭然だった。 「……神官長」  セイディがゆっくりと神官長に声をかけるものの、彼はこれっぽっちも反応しない。ただ、セイディに向かって魔法を飛ばしてくるだけだ。それは氷の刃となり、セイディに容赦なく攻撃を仕掛けてくる。  その氷の刃を避けながら、セイディは考える。 (どうすれば、神官長を助けられる……?)  脳内を必死に動かし、ぐっと下唇を噛んで考える。考えても、考えても、答えなんて出てこないかもしれない。けれど、考えないよりはずっとマシだ。人間、考えることを止めてしまえばそこで成長は止まってしまう。少なくとも、セイディはそう思っている。 「っつ!」  しかし、考えに集中していた所為だろう。セイディの衣装に、微かに氷の刃が触れた。それに目を見開けば、神官長の口元がふっと緩む。もしかしたらだが、彼の表情はアーネストとリンクしているのかも、なんて何の役にも立たない結論を生み出す。 (ダメよ。怯んじゃ、ダメ)  怪我はしていないのだから、構わないだろう。そう思い直し、セイディはまた氷の刃を避けていく。とめどなく与えられる攻撃は、確実にセイディの体力を削っていく。一刻も早く、何とかしなくては。  そんなことを考えていると、不意にポケットから一つの指輪が零れ落ちた。慌ててそれを拾い上げれば、それは昨夜クリストバルから託されたもの。……何処となく、妖しく光っているように見えるのは気のせいではないはずだ。
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