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(……そうだわ)  一つの考えが、セイディの脳内に浮かび上がる。だからこそ、セイディはゆっくりと神官長に近づいていく。至近距離で攻撃されれば、避けるのは難しくなる。でも、このままだと体力が尽きてじり貧になるのは目に見えている。だったら、一か八かにかけた方がいいに決まっている。そう、思った。 「……クリストバル様。お力を、お貸しくださいませ……!」  指輪を握りしめ、そう唱える。こんなことを呟いて、何かが変わるとは思えない。それでも、何も言わないよりはマシだと思った。  少しでも、狙いを定めやすいようにゆっくりと神官長に近づく。指輪には自身の光の魔力を注ぎ込み、力を増幅させていく。多分、クリストバルが想定していた使い方はこれではないだろう。けれど、託されたものをどう使おうがセイディの勝手である。人助けに使うのならば、彼も文句は言わないだろう。 「っ……!」  神官長が、徐々に近づいてくるセイディに目を見開く。攻撃は激しさを増し、セイディを遠ざけようとする。でも、お構いなし。  まず、指輪に光の魔力を注ぎ込む。その後、指輪を思い切り握った。ぎゅっと握りしめ、視線は神官長に向ける。足は地面を踏みしめ、ぎゅっと力を籠める。
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