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(……疲れた)  体内から一気に光の魔力が消えたこともあり、セイディはふらふらとよろめいてしまう。が、そこをぐっとこらえていれば、何処からか「クソッ」というような声が聞こえてきた。多分、アーネストのものだろう。 「……アーネスト様。これで、数ではこっちの方が有利になりましたね」  アーネストに対してそう声をかければ、彼は露骨に舌打ちをし、「……あ~あ」なんて呟いて一瞬だけ空を見上げる。 「……くだらない。全部、ぜーんぶくだらない」  その後、聞こえてきたのはそんな言葉だった。  それとほぼ同時に、アーネストの持つ剣の矛先が、ジャックからセイディに移動する。向けられた殺気に一瞬だけ身を震わせれば、彼は「ジョシュア。二人同時に相手、できますよね?」と言葉を投げつける。 「……あぁ、短期間だったらできるぞ」 「俺は、あの聖女をぶっ潰す。……そっちは、頼みましたよ」  アーネストのそんな言葉。次の瞬間、アーネストの足が地面を蹴り、一瞬でセイディとの間を縮めてくる。ジャックが咄嗟に反応しようとしたようだが、ジョシュアはそれを阻んでいるようだった。 「……お前、邪魔だっ!」 「邪魔するのが俺の仕事だ」  何処からか、そんな声が聞こえてくる。けれど、今はそんなことよりも。そう思いセイディはアーネストのことをまっすぐに見据えていた。彼の行動をしっかりと見つめ、確実に攻撃をよけていく。反撃の方法は、ほぼない。 (……耐える、しかないのよね)  多分、今できる精一杯の行動はそれだけだ。そう思い、セイディはアーネストの攻撃を避けていく。視線を少しだけずらせば、ジョシュアはジャックとミリウスの二人を同時に相手しているようだった。……やはり、彼は化け物のようだ。
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