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 そう思いながらも、セイディは何とか立ち上がろうとする。が、アーネストの行動の方が早かったらしく。彼は剣をセイディに突き付けてくる。……剣先が、目の前にあるのは、絶体絶命というやつだろうか。 (……本当に、ついてないわね)  肝心なところで、運がないな。そう思い口元を緩めていれば、アーネストがセイディのことを見下ろしてくる。 「……ようやく」  小さくつぶやかれたその言葉に、セイディは「……負けたく、ないです」と淡々と告げる。 「負けたくない。やられたくもない。……私、そう簡単に負けませんから」 「この状況で、よくそんなことが言えますよね」  確かに、この状況下だとセイディの言葉は強がりでしかないはずだ。  それに、策があるかと問われれば、答えは否。何もない。ただ、自分にできることは――祈ること、だけなのだから。 (――一瞬の隙をついて、逃げる。これに賭けるわ)  こうなったら、変に逃げようとしない方がいいに決まっている。そう思い、セイディはアーネストの行動を注意深く観察した。誰だって、一瞬くらいは隙ができる。できるから――その隙を、突く。 (行くわよっ!)  ほんの少し、アーネストの視線がそらされたとき。セイディは、勢いよく立ち上がり、その場を駆け出そうとした。  しかし、アーネストにはそれがお見通しだったらしい。セイディの後ろから、その剣を切りつけてくる。  ――もう、だめかもしれないっ!  そう、セイディが思った瞬間だった。 「――なっ!」  アーネストの、驚いたような声が聞こえてきた。  そして、揺らぐ誰かの身体。……セイディのものではない、その誰かは、セイディを庇ってくれた。それだけは、セイディにもよくわかった。
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