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貴族の女性は、プライドの高い人が多い。そういう人たちの中には、こういう態度を取られれば怒られる女性も一定数いる。きっと、ジャックが今までお見合いに失敗したのはこういう態度が一番の要因なのだろうな。まぁ、それは以前から分かっていたことであり、誰もが分かることなのだろうが。
「……分かっている。分かっているが……簡単に、治るわけがないだろ!」
「それは、そうですけれど……」
セイディだって、男慣れしているとは言えない。だから、もう言わない方が良いかな。そう判断し、セイディが押し黙れば、ジャックは「……だから、その……お前が、手伝え」と小さな声で言ってきた。
「わ、私、ですか……?」
「あぁ、お前ならばまだ、まだ、マシだ。だから……お前に手伝ってもらうのが、手っ取り早い」
それは確かに、そうかもしれないが。そんなことを思いながらセイディが眉を下げていれば、ジャックは「それとも、嫌か?」と問いかけてきた。別に、嫌というわけではない。ただ、驚いてしまっただけだ。
「いえ、嫌ではありませんよ。ただ、私は世間一般の普通の女性ではないので、私に慣れたからと言って、ほかの女性に対しても普通に接することが出来るかと言えば……別問題かと」
「それも、そうか」
いや、そこは納得してほしくなかったな。心の中でそう思いながら、セイディは「ですが、私でよければ手伝いますよ」と言う。ついでに、にっこりと笑った。
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