後片付け

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 それからのセイディたちは、諸々の後処理に追われた。  セイディが発した光の魔力は、サプライズの演出と言うことになった。幸いにも、この付近に光の魔力の粒子が降り注いでいたらしく、民たちはそれである程度は納得してくれたようだ。  特に、王族であるミリウスがそう宣言したのが大きいだろう。彼は面倒なことは嫌だと逃げようとしたものの、アシェルに引っ張られる形で表舞台に出ることとなってしまったのだ。あの文句がありそうな表情は、セイディの脳内に焼き付いている。  神官長に関しては、一旦病院に入院という形になった。精密検査を……と言うことになったのだが、彼は拒否しているらしい。というのも、神官長は大の病院嫌いだとか、なんとか。何度も病院から逃亡しようとしている……と言うことを、セイディは風のうわさで後から聞くことになった。なんとまぁ、子供っぽいところもあるじゃないか。  そして、今回一番重要となった案件。フレディのことなのだが――。 「いや~、大変だね、尋問って」 「……そうですよね。けど、私の元でお茶を飲んでいらっしゃるので、そこまで大変だと思っていらっしゃいませんよね?」  帝国の刺客であり、皇帝の腹違いの弟ということから、フレディはいろいろと取り調べを受けることになったらしい。が、度々抜け出してはセイディの元を訪れてお茶を飲んでいる。傷もすっかり治ったらしく、いつもけらけらと笑っている。  その笑みは、前までの何処となく不自然なものではない。心の底からの笑みにも、見えた。 「……それにしても、無事終わってよかったね」  フレディがクッキーをつまみながら、セイディにそう声をかけてくる。  そのため、セイディは「……そう、ですね」と苦笑を浮かべ、紅茶の入ったカップを口に運ぶ。
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